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akimachoのはてなブログ

ICTとデザインのためのブログ

オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』メモ1

読書

はじめに

オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』(中公クラシックス)を読んでいるのでメモしておきます。

大衆の反逆 (中公クラシックス)

大衆の反逆 (中公クラシックス)

きっかけ

現代の社会では、大勢の人々の購買に耐えうるようにある商品をたくさん作りますし、一方で大勢の人々の需要に耐えうるようにたくさんの種類の商品を作っています。例えば、おかかのおにぎりに飽きたら鮭のおにぎりを食べる。他人と違った個性を演出するために服や靴を買うなど。

そんな社会を大衆(消費)社会というのでしょうか。だとしたら、それがいつどのようにして成立したか、今後どうなるのか考えみたいと思ったので、オルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』を手に取りました。

大衆社会について論じている本は今ではいくつかあるのですが(例えば、見田宗介とかボードリヤールかな?)、『大衆の反逆』はそんな大衆社会論の嚆矢と言われています。 中公クラシックス版についている年譜(p.259)によれば、『大衆の反逆』が出版された年は1930年(昭和5年)です。ちなみに、オルテガは本書の中で「大衆化社会」と言っているので、少なくとも1930年頃には大衆社会になりつつあったのだと思われます。

メモ

佐々木孝さんによるまえがき「今日的オルテガ」、「1 密集という事実」、「2 歴史の水準の上昇」、「3 時代の高さ」、「4 生の増大」、「5 ある統計的事実」まで読みました。

佐々木孝さんの「今日的オルテガ」はなんだかまとまりがない印象を受けましたが、スペイン思想史の文脈からオルテガを紹介する部分(pp.6-17)は参考になりました。

  • ギリシャ以来、ヨーロッパは「理性」と「生」を精神的な支柱としてきたが、近代になってヨーロッパは「理性」に傾斜したのに対し、スペインは「生」の立場にとどまったようです(確かに哲学史を紐解くと近代の哲学者はフランス、ドイツ、イギリス人ばっかりでスペイン人は出てきません。でも、芸術家だとゴヤピカソ、ダリがいますね)
  • なぜかというと、スペインは地理的経緯、歴史的経緯から様々な文化が入り乱れる国で、「一民族一文化の論理」(p.10)では理解できない複雑な「生」の多面性を身を持って経験してきたから。
  • (疑問)近代ウィーンもそんな感じだから、クリムトのような作品が生まれたと言えるかな

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wikipediaより

「1 密集という事実」で、大衆が社会の表舞台に立ってきたことが指摘されます。著者はどうやらそれが気に入らないようです。「2 歴史の水準の上昇」では、大衆が社会の主役となることの原因として二つの問題があげられています。

  1. 少数派のためのライフスタイル、趣味(オルテガは人生の目録といってるけど)が大衆のものとされた
  2. 大衆は少数派に対して従順でなくなった

ここでいう少数派の啓蒙活動および民主化運動、そして社会の経済反映によって生活水準が上昇し、憧れであった自由主義、民主主義が当たり前のものとなったとき、大衆は以下のように行動するようになった(なりつつある)と著者は主張します。「自分からすすんで行動し、すべての楽しみにたいする権利を要求し、断固として意思を主張し、あらゆる隷属を拒否し、だれにも服従せず、自分の身と自分の余暇を貴重に思い、身なりに気をつける」

「3 時代の高さ」では、現代という時代のうぬぼれが指摘されます。現代は「他の時代より上である」(p.37)というわけです。各時代の説明が入るのですが、あまり頭に入ってきませんでした。

ある程度読んでみて本書のレトリックになかなか馴染めなかったので、途中から次の問いを立てて議論を追うことに専念しました。

  1. 大衆とは何か?
  2. 大衆は何に、どうして反逆しているのか?

「4 生の増大」で、オルテガは現代人の「生」が量、力ともに増えたというわけですが、

  • 「生」の量の増大とは、現代人の選択肢・可能性の総計が増えたということ
  • 「生」の力の増大とは、現代人は先達よりも精神の精確さ・自由さを持っているということ(明確に述べられていないのですが)

「4 生の増大」までは導入で、「5 ある統計的事実」以降で本格的に大衆にメスを入れていくようです。続きはまたメモしたいと思います。

おわりに

始めに大衆社会ありき、ビックデータは大衆社会と共にあり。情報工学と多少はつながりがあるかな。

ちくま学芸文庫のほうも、立ち読みしてみようと思います。

大衆の反逆 (ちくま学芸文庫)

大衆の反逆 (ちくま学芸文庫)